しかし、私の相手は王太子様だ。
王太子様は周りからも人気のあるお方。
そんな姑息な手を使って女性を落とさずとも、引く手あまただろうに。
ましてや私を相手にそんなことをするとはあり得ない。
だって私はただの男爵令嬢であって、容姿だってとびぬけて綺麗なわけでもないから。
多々いる貴族のひとり。
王太子様のお眼鏡にかなうような人間ではないのだ。
……そう推測する限り、私は王太子様の前でとんでもない醜態を晒したことになる。
差し出されたお酒を煽り、勝手に酔っぱらって意識を飛ばし、本能に任せて王太子様と深い関係になってしまった。
もしかしたら無理矢理、王太子様に迫ってしまったかもしれない。
もしかしたら……。
考えれば考えるほど、嫌な想像しかできなくなる。
ああもう、貴族の片隅にもおけない行動。
男爵令嬢なんて聞いて呆れる!
こんなこと、絶対あってはならないのに!!
「ビアンカ様。とても言いにくいのですが、それ以上に今は危惧することがございます」
頭を抱え悶えているところに、アマンダが真剣な顔で話を切り出した。
その表情にドキリと胸が鳴る。
「危惧……?」
「ええ。深い関係になってしまったということは、その先のこともあり得るということ。万が一王太子様の子をこの一件で成してしまったということになったら……」


