「【彼】は自分のことを闇の使者だと言っていました…」


オリヴァーが、声を潜めてワイアットにそう話し掛けた。
それを聞いたワイアットもは黙って頷く。

傍にいたルークは、ちらりと少し後ろを歩くアリアの方を見た。



さっき見た彼女は、本当に此処にいる彼女と同じ人物なのだろうか…。
疑問が幾つも浮かぶ。
冒険をして、もう大分経つとは言え、彼女は王女であり…そんな力を鍛錬する事はなかっただろうに。
戦闘を繰り返す度に、目の当たりにする彼女の新たな面に、ルークは焦りにも似たような感情が芽生えていた。


置いて行かれる…。


そんな思いに近いだろうか。
このままの自分ではいけないような気がして、地団駄を踏みたい衝動に駆られる。