そこへ、大柄で大きな角を生やした魔王ペレスヒルが現れた。
その表情は圧倒的に殺気に満ち満ちていて、威圧さが増している。
炎が、どんどん周りの草木を燃やし、皆の足元付近まで及んできていた。



…このままじゃ、業火に焼かれてしまう。


アリアは、息苦しさに顔を背けようとして、瞳を伏せる。
そして、その腰に吊るしてある聖水の入った瓶を視界に入れると、焼け付けそうな喉を片手で覆い、もう一方の手でそれを天高く放り投げた。



「アシューダ!今こそ貴女の力が必要よ、どうか助けて!」


そう叫んでから、アリアはパッと放たれた薄い水色掛かった光の中に立ち、両手を大きく広げて今までとは全く違う形の印を結んだ。
朱色の瞳の中心に、淡い金色の光が浮かぶ。



『『アルゥ・ラプカ…エフワズ・イングス!!』』



サァァ…


風が、動いた。


アリアの長い髪がその風になびいて行く。