『我を、呼ぶのは…誰だ…』
辺りに反響していく声。
その声は、どこまでも冷めていて、後ろで控えている皆をその場に縫い止めて縛り付ける事など容易い事だった。
けれど、アリアは違う。
その声に向かって、凛とした姿勢をして、ほんの少しだけ声を上げて語りかける。
「アシューダ…お前を呼んだのは…イザベラ、改めこのアリア…」
『…アリア…ほぅ…アリア、か…』
アシューダと呼ばれた水の精霊は、水柱の間に浮かんだ鏡のような空間から現れ、アリアの名前を復唱すると、まじまじとアリアの瞳を覗き込んだ。
『間違いはない…そなたは我の友…その深紅の瞳が何よりの証』
「アシューダ、力を貸して…私には占う事でしか戦えない」



