濃霧を蹴散らし、心に溜まる不穏をどうにかして押し留め、ケルベロスが言っていた世界の墓場に、一行は辿り着いた。


此処は、何もない…。

…昔からそこには何も存在しなかったかのように、音一つ‥一片の風さえも…何もかも…。



心の中に這いずり回るような不安に浮かんでいく。
この込み上げる吐き気にも似た感情はなんなんだろうか……。

ずぶずぶと地下深くに引き摺られていくような、そんな気持ちになって、皆は心許なくなる。


「…待って…」


突然アリアが足を止めた。
それに皆がハッとする。