「黒藤に言わせれば、俺は真紅の血を吸ってほどなくして人間になっていたということです。

お互い、すぐには気づきませんでしたが……真紅が、黒藤や月御門の主に逢って、影小路のことや自分のことを知って、俺の中に退鬼師の血が流れたことで、俺への影響を心配してくれていました。

……その頃は、傍にいられないと思っていました」


「私の血が、黎を害してしまう可能性がありましたから……。

ですが、私に始祖の転生の力が戻っても、黎は生きてくれていました。

そして、黒藤さんと白桜さんがことの経緯を突き止めてくれたんです。

黎の鬼性を滅しただけで、命に別状はない、と。

――お願いです。私は黎と一緒にいたいです。どうか、黎さんと付き合っていくこと、その先に結婚すること、お認めください」
 

真紅が半歩分身を引いて、頭を下げた。