「始祖の転生として覚醒する前に、私の存在に気づいた妖異に襲われたんです。それを助けてくれたのが、黎でした。

そして、黎が吸血鬼でなかったら、私はそのまま死んでいました。

……もしも本家の方々に反対されたら、私は影小路を出ます。そして、黎と一緒に居る方を選びます」
 

真紅が決めていたことだ。


誠は、考え込むように重心を後ろに下げた。


「……真紅さんが、黎が家を出ると言った理由だったか……」
 

机に隠れている、真紅が膝の上で重ねた両手を、黎の左手が覆った。


反射的に見上げると、黎は真っ直ぐ両親の方を見ていた。