「し、しかし真紅嬢――御身(おんみ)は影小路が始祖の転生と伺っている。

私も総ては存じ上げないが、転生とはほとんどが当主となってこられたのだろう? 
黎の――二人の話を聞いていると、将来も望んでいるように聞こえる。

まさか、黎を影小路本家に入れるつもりでおられるか?」
 

誠は心底心配し、かつ戸惑っているようだ。


「あの……誠さん? で、いいでしょうか……。

私は、生まれはそうですが、まだまだ見習いもいいところです。当主を継ぐだのなんて話はありません。

それに、影小路の正統後継者は黒ちゃ――黒藤さんです。

黒藤さんが、どれほど跳ね除けていたとしても、その地位は揺るぎません。

ですから、その……結婚、とかしても、大きな問題にはなりません。

……現在、黎は鬼性をなくして普通の人と変わりありません。

小路流が、流派の中だけで縁組をしてきたことがないのはご承知と思います。

それから、……普段通りに喋っていただけないでしょうか。そのような話し方に慣れてませんので……」
 

――現在、御門流と小路流が陰陽道の二代流派だ。