「……ああ」


「でも、私はこのまま生きていく。影小路の名前で、……」
 

きゅっと、手を握る力を強めた。


「……出来たら、黎の……隣、で」


「当然」
 

ふっと、一瞬の間に唇を奪われた。


「れ、黎! 人前!」


「なんだ? ずっと隣でいいんなら、これくらい通常でするけど?」


「~~~」
 

夕闇の道とはいえ、人通りや車通りがないわけではない。


恥ずかしさから真赤になる真紅を、黎は楽しそうに見ている。