好きになった子は陰陽師になった。ーさくらの血契2ー【完】


+++

「無月」
 

真紅と黎を残して廊下に出た黒藤の傍らに、妖異の気配が生じた。


「さっき真紅が話したこと、言われた通り誰にも言うな。涙雨や縁にもだ」


《……承知した》


「じゃー先に戻ってるか。真紅の回復は、黎に任せときゃ大丈夫だろ」
 

黎なら、真紅を癒やせる。黎だけが、今の真紅に言葉が届く。


《いいのか? 真紅が話したことが総て真実なら、影小路の根幹を揺るがしかねない》
 

提言する無月に、黒藤は、はっと捨てるような笑いを見せた。
 

その瞳に宿った光は銀色に見える。


「お前が忘れたワケじゃねえだろ? ――俺の目的は、影小路の瓦解(がかい)だって」