好きになった子は陰陽師になった。ーさくらの血契2ー【完】



どちらだ? そこにいるのが、海雨なのか、始祖当主なのか。


「………」
 

自分が不甲斐無い。


ずっと一緒に居た親友と、最初の主すら見分けられないなんて。


『あなたは、……海雨?』
 

真紅が問いかけると、彼女はふるりと首を横に振った。


――否定。


『わたしは、ずっとわたしだったの。ごめんなさい、真紅。《海雨》なんて子は、本当はいないの』


『―――――』
 

今度襲ってきたものは、戦慄なんて生易しいものではなかった。
 

わたしは、ずっとわたしだった……? その言葉は、海雨の存在への否定か? 


梨実海雨はいなかった……?


『何度――何度も、あなたたちはわたしを見つけて、わたしに知られぬようにと護ってくれた。徒人(ただびと)になった、影小路の罪の権化(ごんげ)であるわたしを……』