好きになった子は陰陽師になった。ーさくらの血契2ー【完】



言いたくないことを言わないでいいと言ってくれるなら、何も言葉せずにただ、抱きしめていてほしい。


そして、戦場(いくさば)へ赴く自分を、そこで待っていてほしい。
 

黎のところへ帰りたい。
 

けれど、真紅の目の前に問題が提起されているとき、黎を頼ることは出来ない。


自分の中で総て抱えて、総て解決策を講じなければならない。


黎の腕の中に、安息の地を求めることは出来ない。


一瞬でも、問題から目を逸らしてはいけないから。
 

そして今が、そのときだった。
 

目の前に転がって来た、影小路を根本から揺らがしかねない問題。


その鍵を握っているのが海雨で、影小路で唯一それを知っているのが真紅だ。
 

黎の腕の中で、安心した気持ちになっている余裕は欠片もない。
 

黎のことを突き放してしまった。
 

でも、


「……これで、いいの」
 

これしか、ないの。
 

せめて黎を、巻き込みたくない気持ちも確かにある。