「真紅ちゃん?」


「どうしたのです」
 

朝の早い人たちなので、身支度はもうすんでいる。
 

真紅は慌てて抱えている猫を見せた。


「家の前に倒れてたんだけど、赤ちゃんが生まれるみたいなの」
 

真紅が言うと、二人して三毛猫を覗き込んで来た。
 

三毛猫は大きなお腹で、荒く息をしている。


「産みますね……子猫が二匹視えます。姉様、清潔なタオルと、一応湯をわかしてください。真紅はこっちへ、お産になりますよ」
 

紅緒のてきぱきとした指示で、紅亜は台所へ、真紅は部屋の隅にタオルを敷いて、猫を寝かせた。
 

相当辛いのだろう、喉からひゅーひゅーと北風のような音をこぼしている。