「ん?」
 

土曜日の朝。


新聞を取りに玄関まで出た真紅は、敷地の外――門の辺りに違和感を感じて覗いてみた。


「あ、猫?」
 

門の前には、三毛猫がうずくまっていた。


真紅は門を開けて、猫に近寄った。


車の通りの少ない道ではあるが、絶対に通らないわけではない。


寝ているのなら、起こしてやらないと危ない。


「猫さーん。そこいると轢かれちゃうよ―――」
 

と、三毛猫の傍にかがんだ真紅は、びっくりして言葉が消えてしまった。


「――ま、ママ! 紅緒様!」
 

真紅は反射的に猫を抱き上げて、家の中に飛び込んだ。