好きになった子は陰陽師になった。ーさくらの血契2ー【完】



「百合緋ちゃん?」
 

真紅が首を傾げると、百合緋は視線を斜め下へおろした。


「わたしはいつか……わたしじゃないものになる。今は『わたし』が表に出ているけど、中に居る『わたし』にいつか、乗っ取られる……。そんな気がして、怖い……」
 

右手で左ひじの辺りを摑んで、百合緋は吐き出す。


真紅は目を細めた。


「だから………百合緋ちゃんは、白ちゃんと一緒にいるんだね」
 

百合緋は少し間を置いてから、肯いた。
 

百合緋は物忌(ものいみ)だと言う。


百合緋の中にある存在(もの)は、祓ってはいけない類のもの。


だから、不測の事態に備えて白桜が常に傍にいる。


当代二強と謳われる陰陽師の一翼が。


「……こわい、ですよね」
 

ぽつりと言ったのは、真紅ではなく架だった。