好きになった子は陰陽師になった。ーさくらの血契2ー【完】




「真紅ちゃんは……この前まで、普通の女の子だったでしょ? 家のこととか知らなかったって聞いた。それが急にこんな――陰陽師とか、いわゆる非日常みたいな世界に入ることになって、戸惑いとか、ないの?」
 

戸惑い。
 

真紅は即答する。


「ないかな。むしろ、だんだん自分になっていく感じがしてる」


「……自分?」


「うん。過去の転生とかは関係なしに、私が生まれてくるはずだった形になっていく。戻って行くって言ってもいいかな。違和感とかは、特になかった。視え始めても、それが当たり前だったんだ、って感覚だった」
 

真紅が、急に妖異の姿が視えるようになっても、恐怖心や違和感は持つことはなかった。


「だってそれが、私の『当たり前』だから」
 

真紅の返事を聞いて、百合緋は唇を噛んだ。


「わたしは……怖い、んだ……」