「……兄貴はわかってるって言いたい?」


「誠さんが仕えているのはあくまで影小路一族だ。それを、次代のお前が『真紅に仕える』って言ったら――とどのつまり、真紅を影小路の当主に推すと言ったようなもんだろ」
 

架を見遣ると、不敵な笑みを見せた。


「さすが。そういうことだよ」


「そんなことしてどうする。黒藤の出自があれとはいえ、正統後継者としてあるんだぞ?」
 

架が歩き出したので、黎は渋い顔で並んだ。