「………真紅」 「はい?」 「……いや、なんでもない。取りあえず、今日は帰る。桜城の家からこちらへの接触はないから、そこは安心していい」 「うん。わかった」 「じゃあな。ちゃんと寝ろよ?」 「黎もね」 軽く手を振って、黎を見送った。――影小路の庵の玄関先で。