俺の名前は、大橋敬太。

今、最愛の人を腕に抱き、俺たちに起こった忌まわしい出来事の数々を思い出す。

“きっかけ”は、冴木佑美が皆に見せたネットの掲示板だった。

奇しくもその日は9月9日、俺の誕生日を祝うために集まった夜。

ゆえに、一生忘れることはないだろう。

午前3時3分。

たかが都市伝説とふざけながら始めた、呪われし禁断のゲーム、“ダルマさんが転んだ”。

その夜、俺たちの前に、手足のないダルマ女“伊達磨理子”が地面を這って現れた。

まず最初に犠牲となったのは、将来を嘱望されていた川本将昌。

彼は電車に轢かれ、手足を失い、そのあとで死んだ。

翌日、車の下敷きになり、ムードメーカーの小泉大輝が同じように。

なんでも気兼ねなく話せた佑美はなにも言わず屋上から飛び降り、いつも明るかった遠野由香里は煌々と揺らめく炎の中で……。

大事な友達は皆、“ダルマ”の姿になって、この呪いのゲームで死んだ。

彼らの笑顔を今でもまだ鮮明に思い出せる。

俺が守りたかった。でも、果たせなかった。

青春を謳歌できる場所はもう、記憶が織り成す夢の中でしかない。

ただ、ひとつだけ救いがある。

それは……。