私はあの日、敬太の話を一つも聞き逃すことはなかった。

呪いのゲームのルール。
磨理子さんの日記。
君江との会話。
沙奈という、彼の大事な人。

すべてに娘が関わっているのなら、知っておきたかったからだ。

敬太は、呪われし禁断のゲームについて誰よりも詳しい。

だが、その話と3件には明白な矛盾がある。

この被害者たちは、死に至るまでの時間が短すぎるのだ。

「祐一郎くん、キミは知らないみたいだね。あのゲームによって罰を受ける者は皆、手足を失ってから、どんな状態でも必ずきっかり30分は生き延びるそうだ」

「え!?」

「理由は多分……」

磨理子の心臓が3時3分に再鼓動を始めてから、息を引き取るまでの30分間。

娘が必死に“生きたい”と強く願った時間。

であるから、呪いのゲームの被害者たちにも、その時間が与えられたんだと私は思っている。

「だ、だから、なんなんですか!? 僕には関係のない話だ!」

「いや! キミが悪意をもって、彼らを呪いのゲームに巻き込み、かつ瀕死の状態に陥った3人をその手で殺めた。ちがうか?」

「…………」

「手足が被害を受ける死に様なら、私も疑問に思うことはなかっただろう。しかし、3件目の杉山洋平だけは、全身火だるまになって死んでいる。それが、キミの犯した大きなミスだ!」

「…………」