それからも、何も変わらなかった。

勉強も訓練も。



間もなく、18歳になる。


先に18歳になったシリルが、リリアの兄である王太子の護衛隊に入ることが決まった。


それは、めでたいことではあっても、アリアにとって、いつでも会える状況ではなくなる、ということだった。



以前に雨宿りした、小屋に2人で来ていた。

「アリア、俺は王宮に行くよ。
入隊の日までにも、護衛隊の研修を受けにいく。

あまり、会えなくなるな」


会えなくなる、その言葉が胸に突き刺さる。

新任の護衛隊の隊員は、宿舎生活なのだ。

痛む胸のうちを隠して笑顔を貼り付けた。


「……入隊、おめでとう。

時々、ここに帰ってくるの?」

「ああ、月に一度位は帰れるらしい。
本当かどうかは分からないけどな」

苦笑いをしながらシリルが言い、言葉を続けた。


「お前も、この先何かしらの任務に就くのだろう。

それでも、お前のことは、ずっと思ってる。

今は将来の約束はできないが、いつか、また2人で会えるはずだ」


そう言って、優しく抱きしめてくれた。


「分かってる、分かってるわ………またいつか、会える、はず、よね。

あなたを、愛してるわ」


「アリア………」


熱いキスを交わす。

2人で会う時間が、もう、少なくなっている。

分かっていた。


「俺も、愛してる………」



養成所の女性は、体の関係を持ってはいけない。

王宮に仕えることになる体。


2人はその掟を最後まで、守った。