国王陛下の極上ティータイム


執務室は静寂に包まれた。


そして重たい沈黙が居座る。

クラリスもディオンもその空気に耐えかねていると、この空気を作り出した当の本人は全く気にする様子もなく、いつもの笑顔で腕を組むと背伸びをした。


「はあ、疲れた。クラリス、茶をくれるかな?」


いつものようにランティスは目を細めて笑う。突然名前を呼ばれたクラリスは「は、はい!」と驚きながらも茶の準備を始めた。


「…ランティス様、セレスティーナ相手とはいえ、少々やりすぎでは」

ディオンが遠慮がちに問うと、「そう?」とランティスは大して気にしていない様子で答える。


「あれくらい言わないと、セレスティーナは気づかない。それに、セレスティーナの扱いには困っていたところだったんだ。あれだけ好意的な気持ちを向けられても、俺は応えるつもりもないし」

丁度いい機会だったと上機嫌なランティスに、クラリスとディオンは顔を見合わせ肩をすくめた。

鼻歌まで歌いそうなほどに上機嫌なランティスを見て、これがさっきまで腹の黒そうな笑顔を見せていたのと同一人物なのかと信じられない気持ちもあった。


「すまない、クラリス」

「えっ!?」

突然謝られて、クラリスはひどく驚いた。