国王陛下の極上ティータイム

「そんな理由で、そんなどうでもいい理由で、うちの大事なお茶係に手をだしたんだね。セレスティーナ、きみには絶望したよ。残念だ。できるならもう顔を見たくはないね。城に来ないでほしいくらいだ。きみのお父上にもそう手紙を書こう」


薄く笑いながら淡々と言い放つ言葉はどれも重たい。

笑顔なのに怖いというのはこういう表情のことを言うのだろうとクラリスは思った。


「そ、そんな!」


慕っている人から絶望的な言葉を言われたセレスティーナは絶望のどん底に突き落とされた顔をして、「私はただ、お会いしたかっただけなのです!」と泣き叫ぶ。


「私はどんなに願っても陛下にお会いできませんでしたわ。でも、この女は、簡単に陛下にお会いできている!私とはお会いしてくださらないのに、この女とはお会いになる!それが許せなかったのですわ!

茶なんて、この女ではなくたって誰でも淹れられるのに!」


セレスティーナの語った言葉は正しくて、クラリスは心の中で頷いた。

そうだ、茶なんて誰にだって淹れることのできる行動だ。湯と茶葉と道具があれば、誰だって、それこそ子どもだって淹れることは可能だ。

それはよく分かっているのに、クラリスはその言葉に苛立った。お茶係としてのプライドがその言葉を許せなかった。


「そうだね、誰にでも茶なんて淹れられる」


ランティスの言葉にクラリスははっと顔を上げる。