国王陛下の極上ティータイム

寧ろ、こんな風にランティスがクラリスを庇うようにセレスティーナを叱りつけるようなことがあり得ない。ありがたいことだが、こんなことくらいでセレスティーナに怒るなど、可笑しいったらない。

きっとランティスもやり過ぎだと分かっているだろう。相当な切れ者であるランティスに分からないわけがない。確かに民思いの王ではあるけど、それでも常識は持っているはずだ。

クラリスは不安に思ってディオンを盗み見た。なぜかディオンが笑いを堪えているような表情をしているのでクラリスは不思議に思った。何も面白いことなどないはずなのに、どうして?


「わ、私は、ただ…」

セレスティーナはランティスの前で青ざめ震えていた。自分はとんでもないことをやらかしたと思っているらしい。

彼女がクラリスにした理由の大本をたどれば、それは至って純粋な願い。ただ、ランティス国王陛下とお会いしたい。そんな乙女心だ。責められるにしてはあまりにも可哀そうなほど可愛らしい理由。


「わ、私は、ただ、ただ陛下にお会いしたいと思っていただけですわ!」


叫ぶようにセレスティーナは言った。それは自分がやったと認めたことに等しかった。

答えを聞いたランティスは大きな溜息を吐いた。それはいつもの彼からは想像もできないほどに異様で、クラリスは背筋が凍り付く感覚がしていた。


「俺に会いたいから、クラリスに手を出した?」


冷たい声で、ランティスは呟く。