国王陛下の極上ティータイム

セレスティーナは首を傾げながらランティスの見つめる先に目をやる。そしてクラリスを見つけた瞬間目を見開いた。

「貴女は…!」


クラリスはどこを見てよいのかどんな反応をしたらよいのか分からないまま会釈をした。

そんなクラリスを見たセレスティーナは、なぜ自分よりも先にこの部屋にクラリスがいるのか憎たらしくて仕方がないと言わんばかりの睨みつけるような目でクラリスを見つめた。


「彼女はお茶係として最近城にやってきてね、いつもとても美味しい茶を淹れてくれるんだよ。昨日もきみとジュリエッタに茶を淹れてくれたんだ」


「そ、そうでございますの」


ランティスの言葉にセレスティーナは無理やり笑って答えた。


「今後もきみに茶を淹れることもあるだろう。仲良くしてやってね」


一国の姫と他国の侍女が、仲良く!

陛下の冗談も大概にしてほしいものだとクラリスは思った。全く、この王の皮肉は恐しいことこの上ない。


「ええ、もちろん」

にっこり微笑まれたが、その笑顔はどうにかして張り付けたと言わんばかりの作り笑顔で、気持ちなんて少しも込められてなどいなかった。

「そういえば、セレスティーナ。昨日の夕方はどこに出かけていたのかな? 突然セレスティーナが姿を消したとジュリエッタがとても心配していたんだ。もちろん俺も心配したよ」

心配したなんてそんな嘘をよくもいけしゃあしゃあと言えるものだとクラリスは思った。この王の言っていることが嘘か本当か判断することは難しい。