国王陛下の極上ティータイム

「セレスティーナ、お父上は…国王陛下は健在かな?」

「ええ」

「それはなによりだ」


そうやってにこやかに笑うランティスを見て、クラリスは思った。ランティスが色々な人に好感を与えるのはきっとこういうところなのだろう。自分の大切な人を大切に思ってくれている、そういう優しさに皆が惚れるのだ。

ランティスが切れ者と言われるのは、戦術などではなくきっと対人関係をいかに結んでいくのかという面なのだろう。誰が誰と仲が良いのか、どうやって友好関係を結ぶのか、それとも縁を切ってしまうのか。

ランティスは人をよく見ている。注意深く、区切りをつけずに。

だからこそクラリスの無礼ともとれる発言の数々を寛大な心で受け止めてくれたのだろうと、クラリスは一つの答えにたどり着き、ランティスの行動の謎が少し分かった。


「それにしても、不思議ですわ」とセレスティーナは目を伏せて言う。


「陛下が私をお呼びになるなんてこんな幸運なこと、夢かと思いましたもの」


「どうしてもきみと話したいことがあってね」


にこやかに笑うその表情は変わらないのに、空気だけが凍り付いていくようなそんな感覚がした。笑顔が怖いと思ったのはクラリスにとって初めてのことだった。それはディオンも同じなのか、少しだけ表情を強張らせている。


「…彼女のことを、セレスティーナは知っているかな?」


少しだけでも確かに冷ややかな声色で、ランティスはクラリスを見つめる。


「彼女?」