国王陛下の極上ティータイム

「茶はまだいい」

「いかがなさいました?」

「もう少し、待てくれ」

ランティスのよく分からない言葉にクラリスは首を傾げた。

するとちょうどその時ドアをノックする音が聞こえて「セレスティーナ姫がご到着なさいました」と衛兵が高らかに宣言した。


セレスティーナ姫という言葉を聞いたクラリスは目を見開いた。同時にランティスを見つめる。

するとランティスはいつもと同じような穏やかな表情を浮かべてクラリスを見つめると頷いた。まるで「安心して」と言われているようだった。

ランティスからの合図を受けたディオンが「どうぞ」と声をかけると、扉は音もなく開いた。

あまりの緊張に、クラリスはごくりと唾を飲み込んだ。


「お久しぶりですわ、ランティス陛下」


セレスティーナは至極上機嫌でランティスに挨拶した。

こぼれんばかりの笑顔を見せるセレスティーナに、ランティスは作り笑いのような表情を張り付けたまま「久しぶりだね、セレスティーナ」と会釈する。


「いつも陛下はお忙しくされていらっしゃるんですもの。ようやくお会いできて嬉しゅうございますわ」


ランティスは「それはすまなかったね」と笑うのだが、少しもすまないなんて思っていないことは聞いていう側にもよく伝わってきた。ディオンもクラリスも目を見合わせて肩をすくめるのだが、セレスティーナだけはそのことに全く気付かずに目を輝かせて喜びに満ちた表情をしていた。