国王陛下の極上ティータイム

「午前の茶の時間に、ですか?」

「はい、そうです」


不思議なこともあるものだとクラリスは首を傾げる。

いつもランティスは午後の茶の時間と執務室での仕事の時間の時に茶を頼むのだが、午前の茶の時間には茶を頼まれたことはない。


「かしこまりました」


普段ランティスは茶菓子を食べないのでクラリスももっていかないけれど、今日だけは何か持って行こうと思った。見つけてくれたお礼は昨日も言ったけれど、言葉だけでは足りないだろう。

それから出勤してきたブランに昨日の説明と迷惑をかけた謝罪をし、料理長にとあるお願いをしに行ったのだった。



「失礼致します。茶をお持ちしました」

午後の茶の時間になり、クラリスは台車に茶と"とある物"を台車に乗せてランティスの執務室の前まで来ていた。

近くにいた衛兵にドアを開けてもらい、中にはいるとまたいつものようにランティスが微笑んで受け入れてくれた。


「やあ、クラリス。少しは休めたかな?」

「はあ、まあ、多少は」


優しい言葉を投げかけるランティスに、クラリスは素っ気なく返す。ランティスが昨日の夜のうちにブレックファストは必要ないと言ってくれてさえいればもう少し眠ることができたのにと、恨むような視線を向けると「そっか」とランティスは目を細めた。

その表情にうんざりしたクラリスは茶の準備に取り掛かろうとした。するとそれを見たランティスが「少し待って、クラリス」となぜか止めた。