国王陛下の極上ティータイム

クラリスが普段寝泊まりをする使用人寮へ向かう途中、クラリスが閉じ込められていた場所は掃除道具が収納されている倉庫であったことがランティスとディオンから告げられた。

その上、クラリスが手にした棒は壊れてブラシがなくなったデッキブラシだったことも判明した。

また鍵は倉庫の扉上部に引っかかっていて、それを使えば誰でも簡単に鍵をかけられる状態だったとも聞いて、クラリスは驚いた。

城内の倉庫とはいえ警備体制があまりに緩いのではとも思ったが、倉庫に盗られては困るもの、武器になり得るものはないらしい。

おまけに倉庫は城の中でも奥まったところにあり、特定の使用人しか使わず訪れる人も滅多にいないのだそうだ。

ディオンの話によるとセレスティーナ姫は幼い頃からこの城に来ているらしく、そういった城の秘密を知っていても不思議ではないだろうとクラリスは思った。幼い頃にかくれんぼなどの遊びでもしていれば分かることだったのかもしれない。

そんなことを聞いているうちに、寮に着いてしまった。寮は城内にはあるものの、城とは別の建物になっている。城を囲む二つの城壁のその間に位置しているのだ。

城を囲む二つの城壁の間には、騎士団の本部や使用人寮など、クラリスやブラン、ジェラルドのように城で働く人々が生活する場がある。しかしディオンなど陛下をお守りする立場にある側近は王宮内で暮らしているそうだ。

そんな話も、クラリスにとっては初めて知る話だった。