国王陛下の極上ティータイム

遠くから走ってきたディオンは二人に駆け寄ると、「クラリス殿!」と叫んだ。


「見つかったのですね!」


ほっとしたような表情をするディオンに、ランティスは嬉しそうな安堵の表情を見せ、「ご迷惑おかけしました」とクラリスは頭を下げる。


「一体誰がこんなことを。もしや賊の仕業で?」


ディオンの言葉にランティスは「見当はついている」と答えた。


「心配しなくていい。賊ではないし、進入者でもない。母上やジュリエッタを傷つけたりはしないだろうね。まあ、明日にでも灸を据えれば当分大人しくなるだろう」


その言い方から、やはりランティスは犯人を突き止めているようだった。いつもは頼りないところを見ることが多いけれど、この方は相当頭の回転が速い。


「犯人が分かったとあれば安心ですね」とディオンは言った。頷くディオンを見て、彼もまた犯人が分かったのではないかと思った。


「クラリス殿も無事見つかったわけですし、城に戻りましょう。大分夜更けです、クラリス殿も明日からの仕事に影響が出てしまう」


ランティスは「それもそうだね」と頷いて「クラリスを寮まで送っていく」と言い出した。


「し、しかし!」

「ここから自室に戻る途中に使用人寮があるから、ついでだ。そんなに気にしなくていい」


流石にディオンが止めるかと思いきや、「城内とはいえ、夜遅くに女性を一人にするわけにはいきませんからね」とランティスに賛成した。