「それにもし賊の仕業なら退治する必要があるからね。城の皆が傷つけられるのは我慢ならないし、それに母上やジュリエッタ、隣国の姫であるセレスティーナに手出しされたらただ事では済まない」
確かにその通りだとクラリスは思った。
特にセレスティーナ姫の場合、自国の姫が同盟相手である隣国の城で危険な目に遭ったなどということになれば、同盟国間の信頼関係に大きな傷がつく。
それはこの国にとって大きな損失であり、最悪の場合、戦禍をも引き起こしかねない。
しかし、だ。
「ランティス様を失う方が、ただ事では済まないですよ」
「確かに、ただ事じゃ済まないね」とランティスは笑う。いや、笑い事ではないのだが。
ランティスはそれこそこの国の最高権力者であり、当代の切れ者とまで言われる国王陛下だ。そんな国王陛下を失うことは同盟国からの信頼を失うことなどよりもずっと大きな損害であり、きっとこの国は終わるだろう。
そんな危険を冒してまで、ただのお茶係であるクラリスを自ら探そうとする必要性がどこにあるのだ。
「…正直な話、きみがいなくなったと聞いて、居ても立ってもいられなかった」
ぽつりとランティスは語り出す。
「きみに何かあったんだと、そう思ったら何も手がつかなくて、仕事にならないとディオンにも怒られた」
確かにその通りだとクラリスは思った。
特にセレスティーナ姫の場合、自国の姫が同盟相手である隣国の城で危険な目に遭ったなどということになれば、同盟国間の信頼関係に大きな傷がつく。
それはこの国にとって大きな損失であり、最悪の場合、戦禍をも引き起こしかねない。
しかし、だ。
「ランティス様を失う方が、ただ事では済まないですよ」
「確かに、ただ事じゃ済まないね」とランティスは笑う。いや、笑い事ではないのだが。
ランティスはそれこそこの国の最高権力者であり、当代の切れ者とまで言われる国王陛下だ。そんな国王陛下を失うことは同盟国からの信頼を失うことなどよりもずっと大きな損害であり、きっとこの国は終わるだろう。
そんな危険を冒してまで、ただのお茶係であるクラリスを自ら探そうとする必要性がどこにあるのだ。
「…正直な話、きみがいなくなったと聞いて、居ても立ってもいられなかった」
ぽつりとランティスは語り出す。
「きみに何かあったんだと、そう思ったら何も手がつかなくて、仕事にならないとディオンにも怒られた」


