クラリスが届けるはずだった茶をセレスティーナが代わりに届けに来たのだという。
その時ランティスとディオンは顔を見合わせたのだが、相手は隣国の姫。無下に扱うこともできず受け入れたそうだ。
しかしいつまでも執務室に居座られては迷惑なので退室させ、もう一度クラリスに茶を頼むためにランティスの命でディオンは茶室に向かった。
そこまで聞いたクラリスは、「そんなに茶を飲みたかったんですか、陛下は」と冷ややかな視線を向けた。
するとランティスは目を細めて「茶がまずかったんだ」と笑った。
それからランティスは続きを語る。
ディオンが茶室に訪れたが、茶室にはブランがいるだけで、クラリスの姿はない。それどころかクラリスはローズヒップティーを運んだ後から茶室に戻っていないという。
ジェラルドを始め、料理長や侍女など様々な使用人に聞いてもクラリスを見たというものはいない。
可笑しいと思ったディオンがランティスに事情を話すと、夕食も食べ終わり既に仕事も終えていたランティスは捜索に出ると言い出した。
「待ってください、可笑しいですよ」
クラリスは少し驚きながらも口にした。
「私はただの使用人にすぎません、探す必要などありません」
「あるさ、きみは大切なこの城の使用人だ」
一国の王でありながら、ランティスは大真面目にそんなことを言う。
きれい事と言ってしまえばそうなのだが、ランティスのエメラルド色の瞳は真剣そのもの。
普通の王族が考えることではなく、やはり可笑しな王だと思わずにはいられない。
その時ランティスとディオンは顔を見合わせたのだが、相手は隣国の姫。無下に扱うこともできず受け入れたそうだ。
しかしいつまでも執務室に居座られては迷惑なので退室させ、もう一度クラリスに茶を頼むためにランティスの命でディオンは茶室に向かった。
そこまで聞いたクラリスは、「そんなに茶を飲みたかったんですか、陛下は」と冷ややかな視線を向けた。
するとランティスは目を細めて「茶がまずかったんだ」と笑った。
それからランティスは続きを語る。
ディオンが茶室に訪れたが、茶室にはブランがいるだけで、クラリスの姿はない。それどころかクラリスはローズヒップティーを運んだ後から茶室に戻っていないという。
ジェラルドを始め、料理長や侍女など様々な使用人に聞いてもクラリスを見たというものはいない。
可笑しいと思ったディオンがランティスに事情を話すと、夕食も食べ終わり既に仕事も終えていたランティスは捜索に出ると言い出した。
「待ってください、可笑しいですよ」
クラリスは少し驚きながらも口にした。
「私はただの使用人にすぎません、探す必要などありません」
「あるさ、きみは大切なこの城の使用人だ」
一国の王でありながら、ランティスは大真面目にそんなことを言う。
きれい事と言ってしまえばそうなのだが、ランティスのエメラルド色の瞳は真剣そのもの。
普通の王族が考えることではなく、やはり可笑しな王だと思わずにはいられない。


