国王陛下の極上ティータイム

穏やかなジュリエッタ王女の言葉にクラリスは「勿体ないお言葉です」と頭を下げた。

しかしジュリエッタ王女の言葉に反応したのはクラリスだけでなく、セレスティーナ姫もだった。

「ジュリエッタ様。お兄様、ランティス国王陛下はお元気でいらっしゃいますの?」

目を輝かせるセレスティーナ姫の勢いに、ジュリエッタ王女は驚きつつも「え、ええ」と答えた。

「けれど、近頃は特にとても忙しい様子ですわ。やらねばならないことが多くあるとか」

「国王陛下でいらっしゃいますものね」とセレスティーナ姫は手を合わせる。

「今日こそはぜひお会いしとうございますわ」

「…兄上は、今日もセレスティーナ様がいらっしゃると知っていらっしゃるのですが、あまりの忙しさにどうにも執務室から出られないようですの」

セレスティーナ姫は目を見開いて「今日もお会いできないということですの!?」と感情的に叫ぶ。

「…申し訳ないと仰っていましたわ」とジュリエッタ王女は眉を下げながらお伝えする。それを聞いてクラリスは嘘だなと思った。

きっとランティス様は嘘をつくようジュリエッタ王女に頼み込んだのだろう。この姫に会いたくないからと、ジュリエッタ王女に全てを押しつけて。

その気持ちも分からないでもないけれど、でも国王陛下としてそれはどうなのか。話を聞くに、何度も会う予定を破棄しているらしい。

とんでもない主人に仕えることになってしまったとクラリスは溜め息を吐いた。