国王陛下の極上ティータイム

「お待たせいたしました。ローズヒップティーとパウンドケーキにございます」

差し出した茶を見て、ジュリエッタ王女は「これが、ローズヒップティーですの?」と不思議そうな顔をした。

「美しいですわね。今までもローズヒップティーは飲んできましたが、こんなに美しい水色(すいしょく)をしているなんて初めてですわ」

ガラスのティーカップに注がれた茶の色は、鮮やかなピンク色。この鮮やかな色を見てブランも驚いていた。

「ハイビスカスティーとブレンドいたしました。どちらも女性に嬉しい効能がございますゆえ」

セレスティーナ姫は「まるで宝石のルビーのようですわ」と目を輝かせた。

「いただきましょう」とジュリエッタ王女がセレスティーナ姫に話しかける。

口にした瞬間、セレスティーナ姫は「美味しい」と声を漏らす。

「円やかな味わいは、どうして…ハイビスカスティーとブレンドしたからかしら?」

ジュリエッタ王女は顎に手を当てる。

クラリスは「はちみつでございます」と答えた。

「はちみつの方がずっとハイビスカスティーの酸味を円やかにしますので」

ブランの本には【砂糖プラス2】と手書きの文字で書かれていた。おそらくはティースプーン2杯分の砂糖を加えた方がよいとブランは知ったのだろう。

しかしはちみつの方が合うと感じたクラリスが試したところ、砂糖よりずっと円やかな甘みを加えてくれたのだ。

「やはり兄上に言って、貴女に茶を頼んで良かったわ」