「クラリス」
ジュリエッタ王女のほっとした顔が見えてやはり大変だったのだと思ったその時、「貴女がお茶を淹れてくださるの?」と訝しむような声が聞こえた。
その声が聞こえた方を見ると、まるでエメの紅茶のような赤みがかった茶色の髪とつり目の大きな瞳が印象的な女性が、鋭い目でクラリスを見ている。この方が隣国のセレスティーナ姫。
「クラリスと申します。王宮お茶係に任命されております。本日はセレスティーナ姫のために最高の一品をご用意致しました」
「ふうん、そうなの。それは楽しみね」
セレスティーナは、この私を楽しませてくれるかしらと言わんばかりの挑発的な表情を浮かべている。
恐らくどんな上手い茶を出しても不味いと罵られることだろう。こういう貴族は今まで何度も見てきた。彼女は典型的な貴族だ。
「今日の茶は?」
ジュリエッタ王女の問いに、クラリスは準備を進めながら「ローズヒップティーにございます」と答えた。
「ローズヒップティー!」
セレスティーナ姫は立ち上がる。
「美容に良い茶だと聞いておりましたわ!しかし飲んだことはございませんでしたの!」
姫の様子を見て、ブランの言っていた通りだと思った。先ほどまでクラリスを下に見るような態度をしていたのに、ここまで態度が変わるなんて。
貴族王族の女性にとって「美容に良い」は心奪われる魔法の言葉に違いない。
ジュリエッタ王女のほっとした顔が見えてやはり大変だったのだと思ったその時、「貴女がお茶を淹れてくださるの?」と訝しむような声が聞こえた。
その声が聞こえた方を見ると、まるでエメの紅茶のような赤みがかった茶色の髪とつり目の大きな瞳が印象的な女性が、鋭い目でクラリスを見ている。この方が隣国のセレスティーナ姫。
「クラリスと申します。王宮お茶係に任命されております。本日はセレスティーナ姫のために最高の一品をご用意致しました」
「ふうん、そうなの。それは楽しみね」
セレスティーナは、この私を楽しませてくれるかしらと言わんばかりの挑発的な表情を浮かべている。
恐らくどんな上手い茶を出しても不味いと罵られることだろう。こういう貴族は今まで何度も見てきた。彼女は典型的な貴族だ。
「今日の茶は?」
ジュリエッタ王女の問いに、クラリスは準備を進めながら「ローズヒップティーにございます」と答えた。
「ローズヒップティー!」
セレスティーナ姫は立ち上がる。
「美容に良い茶だと聞いておりましたわ!しかし飲んだことはございませんでしたの!」
姫の様子を見て、ブランの言っていた通りだと思った。先ほどまでクラリスを下に見るような態度をしていたのに、ここまで態度が変わるなんて。
貴族王族の女性にとって「美容に良い」は心奪われる魔法の言葉に違いない。


