国王陛下の極上ティータイム

「クラリス殿に茶を届けてもらうようになってから、以前のランティス様とは見違えるほど目覚めが良くなりました」


ディオンの言葉を聞いて、これで良くなった方だったのかとクラリスは驚愕した。

起きない陛下の目を覚ますために、どれだけディランは苦労を重ねてきたのだろう。本当にディラン殿が可哀そうで仕方がない。

陛下は眉をひそめて不愉快だと言わんばかりの顔をしながら「それはそうだろう」とブレックファストを口にする。


「クラリスが来てくれるから、起きないわけにはいかないね」


クラリスにはその言葉の意味がよく分からなかった。

けれど自分の淹れる茶が確実に陛下の役に立っているのだと思うと安心する。


「クラリスのおかげで目が覚めたけれど、今日はまだ寝ていたいな」

「ランティス様!」

ディオンは陛下を諫めた。

「本日のご予定は分かっていらっしゃいますか?本日は隣国リゼルタからセレスティーナ姫がいらっしゃるのですよ!」

「分かっている。ジュリエッタが会うんだろう?」

それを聞いたディランは眉をひそめて「またそうやって王女に押し付ける気ですか?」と詰め寄る。

「別に、押しつけてなど。俺はやらないといけない仕事もあるから」

「否定しないのですね、王女も迷惑していますよ!」

「まあ、無下にするつもりはないさ」

それからクラリスの名前を呼ぶ。

「今日、ジュリエッタのところに隣国の王女が訪れる。茶を用意してくれるかな」

「かしこまりました」

クラリスは頭を下げた。