ローズヒップは実を半分に切り、中に詰まっている種を取り出した後、平たいざるに乗せて乾燥させるのだとブランは言った。

風通しの良い場所で乾燥させるのが通常だそうだが、少しでも早く乾くようにと火を焚いたコンロの上から釣り下げている。

作り方が分からないと申し出たクラリスに、ブランは驚きながらも快く教えてくれた。

「ローズヒップティーは、そのままだと酸っぱくて飲めないから砂糖なんかを混ぜるんだ」

「紅茶と混ぜるのもいい」という話にクラリスは驚いた。

「まあ、あれは大人の味だがな」

お前には飲めるだろうかなと含み笑いをするブランにクラリスは少し眉をひそめながら「それはぜひ飲んでみたいですね」と言った。

「まあ、冗談はこのくらいにして。クラリスがハーブティーには詳しくないとは意外だった。けれどこれから先もハーブティーを淹れることはきっと多い。これを読んで勉強するといい」

そう言って手渡されたのは数冊の本。表紙には「ハーブとお茶」と書かれている。

「これは?」

「私がハーブティーを勉強するときに使ったものだ。まあ、初心者ならこれで十分だろう」

「王太后様に茶を届けてくる」と台車の上にティーカップやお菓子を準備するブランを見てクラリスは驚いた。

王太后へ茶を届けるのはクラリスの役目だったはずだ。

そう言おうとしたが、ブランの行いはハーブティーを勉強したがっているクラリスへの思いやりだと気づき、クラリスは「ありがとうございます」と頭を下げた。