国王陛下の極上ティータイム

それでもあきらめないディオンは「ランティス様、起きてください！」とまた声をかけた。


「ランティス様が頼まれていた茶が届きました！クラリス殿が持ってきてくださいましたよ！」


すると夢うつつだった陛下がうっすらと目を開け、「クラリスが…？」と目をこする。


「そうでございます！ブレックファストを頼まれていたのでしょう？」


その言葉で陛下は目を覚ました。

むくりと起き上がり、クラリスの姿を見ると「すまない」と掠れた声でぽつりと呟く。


「なかなか目覚めるのが得意ではなくてね。せっかく持ってきてくれたのに申し訳がない」


ようやく目を覚ました陛下にクラリスは「構いません」と答えると、ティーカップに茶を注いだ。


「陛下が頼まれていました、ブレックファストでございます。とても熱いのでお気をつけください」


どうぞ、と差し出すと陛下は「ありがとう」といつものように目を細めて受け取った。


「早速頂くよ」


そう言って一口飲んだ瞬間、陛下の目は開眼し咳き込む。

それを見たディオンは驚いて「ランティス様！どうなさいましたか！」とひどく心配そうな顔をしてクラリスを睨みつける様に見つめる。


「まさか、毒を？」


しかしその鋭い視線を受けてもクラリスは一切表情を変えずにディオンを見つめ返して「ご安心ください、毒ではございません」と申し上げた。