国王陛下の極上ティータイム

扉が閉まった後、陛下は笑みを抑えきれずにいた。

それは書類を届けに来た役人に「陛下、いかがなさいましたか?」と不思議そうに尋ねられるほどだった。

陛下は書類に目を通しながら「ん?」と返事をする。


「いやなに、これから面白くなりそうだと思ってね」






翌日、クラリスは早朝から茶室にいた。昨日陛下と会った後にブランに相談したところ、手伝ってくれるとありがたい申し出があった。

「王宮に来て早々、朝から大変だな」と労われたが、苦笑いをするしかなかった。どれだけ気に入らなくても主人に仕えなければならないのが使用人の定めだ。

「今まではブランさんが陛下のブレックファストを淹れていたのですか?」

「ん?ああ、そうだな。ランティス様と、王太后様、ジュリエッタ様の分を淹れてきた」

ブランは湯を沸かしながらそう答えた。

「とりわけランティス様はとても早くに起きられる。私達は陛下より早く起きないといけないから朝が早くてな」

これからはそれが免れるかもしれないな、などとブランが冗談めかして言う。

「陛下は少し熱いブレックファストを好まれるんだ」

「そうですか」と頷きながら慌ててメモを取る。

「陛下のブレックファスト専用の茶葉はあるのですか?」