「俺はね、いつも朝にブレックファストを頼んでいるんだ」
「そうでございますか」とクラリスは相槌を打つ。
ブレックファストというのは朝に飲む紅茶のことだ。一日の始まりを告げる茶。朝食と一緒に飲まれることが多い。眠気が覚めるようにと、通常の茶よりも少し渋く淹れるのが特徴だ。
「それをきみに頼みたい」
「…ブランさんではなく?」
クラリスは不思議に思った。きっと今までもブレックファストを飲んできたのだろうし、それを淹れていたのはブランに違いない。それに国王陛下は茶のうるさいというなら、こだわりもあるだろう。
それなのに突然どうして自分に任されるのだろうか。
「きみが淹れるブレックファストを飲んでみたいんだ」
そう言って笑う、陛下の真意は掴めない。誰にでも親しいように見えるのに本心は分からないような、そんな笑顔だとクラリスは思った。
クラリスはその笑顔を訝しい目で見つめながらも「かしこまりました」と答えた。
「いつごろお持ちしましょう」
「起き抜けによろしく」
起き抜け、とは何時を指しているのだ。
クラリスは思わずそう尋ねたくなったけれど、ブランに後で聞けばわかることだと言葉を飲み込む。
「楽しみにしているよ」
そう微笑まれて、クラリスは眉間にしわが寄りそうなのを必死に抑えながら頭をさげた。
新しい職場は上司にも環境にも恵まれていると言えるが、主人にだけはどうにも恵まれていない。この陛下に今後も仕えていける自信がないとクラリスは思った。
「そうでございますか」とクラリスは相槌を打つ。
ブレックファストというのは朝に飲む紅茶のことだ。一日の始まりを告げる茶。朝食と一緒に飲まれることが多い。眠気が覚めるようにと、通常の茶よりも少し渋く淹れるのが特徴だ。
「それをきみに頼みたい」
「…ブランさんではなく?」
クラリスは不思議に思った。きっと今までもブレックファストを飲んできたのだろうし、それを淹れていたのはブランに違いない。それに国王陛下は茶のうるさいというなら、こだわりもあるだろう。
それなのに突然どうして自分に任されるのだろうか。
「きみが淹れるブレックファストを飲んでみたいんだ」
そう言って笑う、陛下の真意は掴めない。誰にでも親しいように見えるのに本心は分からないような、そんな笑顔だとクラリスは思った。
クラリスはその笑顔を訝しい目で見つめながらも「かしこまりました」と答えた。
「いつごろお持ちしましょう」
「起き抜けによろしく」
起き抜け、とは何時を指しているのだ。
クラリスは思わずそう尋ねたくなったけれど、ブランに後で聞けばわかることだと言葉を飲み込む。
「楽しみにしているよ」
そう微笑まれて、クラリスは眉間にしわが寄りそうなのを必死に抑えながら頭をさげた。
新しい職場は上司にも環境にも恵まれていると言えるが、主人にだけはどうにも恵まれていない。この陛下に今後も仕えていける自信がないとクラリスは思った。


