国王陛下の極上ティータイム

「どこで働いても、私の仕事は茶を淹れることだけです」


すると陛下は「それはいい」と笑った。


「オルレアン伯から聞いていた通りだな。きみは実に面白いね。こんなにも面白い娘はそういない」


陛下が笑うのを見て、クラリスは苛立っていた。

面白いだなんて、この人は私を馬鹿にしているのだろうか。いや、馬鹿にされているとしても、自分は反論できる立場にないことは重々分かっているが。

それよりも、オルレアンの旦那様は何を陛下に告げ口したのだろう。

クラリスが訝しい目で陛下を見つめていると「いや、こちらの話だ」と言われる。その言い方にどうにも腹が立ってしまう。


「クラリス、お茶係のきみにひとつ頼みごとがあるんだ」


突然仕事の話をされ、クラリスは戸惑いつつも「なんでしょう」と尋ねた。

「王宮に来たばかりですまないけどね」と断る陛下に、用事があるのならさっさと話してくれた方が数倍ましだと心の中で悪態をつく。

それをおくびにも見せずにクラリスは「構いません」と答えた。

今までオルレアンの旦那様のお屋敷で、嫌味なことを言う貴族も横柄な態度をとる貴族にもたくさん出会ってきた。だからこそクラリスには嫌なことがあって言いたいことがたくさんあったとしても表情には出さないで対処するという技術が身に着いたのだ。

そしてそのように対処しているうちに、どんなに不条理なことを言われても気にしないようになっていた。心を無にして接することができるようになったのだ。

けれど王宮に来て、この国王陛下と話してからは、心の中で毒を吐かなければやっていられないほどに苛立ってしまう。

それはクラリスには久しぶりのことだった。