「どうでもいいわけないじゃないですか!ディオン殿はランティス様にとっても大切な方ですよ!」

ランティスは怒るクラリスをそっと抱き寄て「ここにいる間はディオンの名前呼ぶの禁止」と言った。

「なんてことを言い出すんですか。そういうの独占欲って言うの知ってます?」

「うるさいな」

ぎゅっと抱きしめる腕の力が強くなる。そんなランティスが面白くて、愛おしくてクラリスは笑みが零れた。


「クラリスは俺のことだけ考えていてよ」


ランティスは呟いた。


その言葉にクラリスの心臓はどくんと大きな音を立てて、クラリスは視線を逸らした。


「…もうランティス様のことしか考えられませんよ」


その言葉に驚いたのはランティスだった。まさかクラリスが素直にそんな言葉を口にするとは思ってもいなかったのだ。

決して合わそうとしない視線も愛しくて、「もうしばらくここにいてくれるかな」とクラリスを抱き寄せた。



「きみを独り占めしたいんだ」



ランティス国王陛下の極上ティータイム。

それは、ふたりきりの秘密の時間。





           fin.