国王陛下の極上ティータイム


衛兵の声とともに開いた扉の先には、きらびやかな世界が広がっている。

国王陛下の応接間に入るのはクラリスといえども初めてのことで思わず圧倒された。

豪華な刺繍の入ったソファ、テーブルの隅々にまで細かな細工がなされている。


「失礼いたします。お茶をお持ちしました」


クラリスが頭を下げると「ありがとう」といつもと変わらないランティスの声が聞こえてきた。

顔をあげるとランティスがいつもと変わらずに微笑んでいる。

その向かいには小さく微笑む濃紺の髪の男性の姿があった。おそらくこの方がフォルスト国の王、アルベルトだろうとクラリスは思った。

お茶をしている間、ランティスとアルベルトは話をする。

部屋の中にいるのは2人の王とそれぞれの側近、そして黒の騎士団団長のクロードがいた。

クロードは鋭い視線で睨みつけているが、クラリスはそちらを見ないように準備をしていた。


「久しいな、アルベルト。まさかアルベルトからこの城に来るとは思っていなかった」

和やかなランティスの言葉に、アルベルトは眉を下げて少し気まずそうに「そうか」と答えた。

「ランティスの顔を見ながら話をしなければならないと思ってな」

「話?」

「ああ」

場の空気が張り詰める。