国王陛下の極上ティータイム

クラリスもブランに向き直ると見つめ返す。


「かしこまりました」


ブランの言葉がクラリスの使命感に火を灯す。

尊敬し信頼もしている上司の茶だ。きちんと届けたい。


それから沸かした湯と食器を台車に乗せ、クラリスは応接間に向かった。

国王であるランティスの執務室や自室の周辺には国王を守るためにいつも複数の衛兵たちが待機しているが、今回はその比ではなかった。

衛兵の他にも赤や白の騎士団員、それからおそらくはフォルスト国から来ているのだろう、フォルストの騎士団の人々までもが応接間を守っていた。

応接間に近づこうとするクラリスを見つけたフォルスト国の騎士団員は、眉間にしわを寄せて「何者だ」と問いかけた。

その迫力に臆することなくクラリスは騎士団員を見据えて「王宮お茶係のクラリスにございます」と答えた。


「ランティス国王陛下の命により、こちらに茶を届けに参りました」


フォルスト国の騎士団員は眉間にしわを寄せたまま「お茶係?」と怪訝そうな顔をする。

ただいつもランティスの執務室を守護している衛兵の人々とクラリスは顔見知りであるため「怪しい者ではありません」とフォルスト国の騎士団員に説明をしてくれた。


「ありがとうございます」


クラリスが頭を下げると衛兵の人は「中で聞いたことは他言無用です」と答えた。

それに頷くと扉は開いた。


「お茶係のクラリス、ただいま到着しました」