国王陛下の極上ティータイム

尊敬する上司であるブランがクラリスの味方であり続けてくれたことが心から嬉しくて、クラリスは「ありがとうございます」と頭を下げた。

照れているのか、ブランは何も言わずに頁を捲る。

ブランの言ってくれた言葉はどれも嬉しくて、クラリスは自信を取り戻せた。

けれどそれでもクロードの言っていたことも本当だと思わずにはいられなかった。


やがて料理長が言っていたパイが焼き上がる時間の少し前になり、クラリスは茶の準備を始めた。

やかんで湯を沸かし、食器を揃える。レモンを輪切りにして、蜂蜜瓶も用意した。

クラリスはこの時いつもよりも丁寧にすることを心がけていた。

クロードの言葉もブランの言葉も、きっとどっちにも理がある。だからこそクラリスは思った。


ランティスに茶を出すのは、もうこれで最後にしようと。






「失礼致します」

焼き上がったばかりで湯気が立ち上るパイを台車に載せ、ランティスの執務室に運び込む。

ランティスは執務机に大量の資料を積ませてい椅子に腰かけていたが、クラリスが来たと分かると資料から目を離し「やあ、クラリス」といつものように挨拶をするのだった。

「茶をお持ちしました」