「お前は茶を淹れるのは上手いのに、隠し事をするのは下手だな」
ふっと柔らかい笑みを浮かべてブランは言う。
「ブランさん、お願いがあるのですが」
「お願い?」
「今日の、陛下へ届ける茶を、ブランさんが代わりにしてもらえませんか?」
いつもと様子が違うクラリスに、ブランは「なぜ?」と問うた。
「ランティス様はわざわざクラリスの茶が良いと言われたのだ。クラリスもそれを喜んでいたのに。どうして代わってほしいと思った?」
クラリスは何と言えばよいのか分からずしばし黙り込んでしまった。
「…私は陛下にとって癌だと、とある人からそう言われました」
どれくらい経ってか呟かれた言葉は、とても頼りないものだった。
「私が陛下に関わるだけで陛下の評判が悪くなると、そう思う人がどうもいるようです」
陛下の評判が落ちるわけにはいきませんからね、とクラリスは無理にでも笑ってみせた。
「誰が言った、そんなこと」
ブランはいつになく怒った様子だった。静かに、口調も変わらないけれど、身にまとう雰囲気は確かに怒っている。
ふっと柔らかい笑みを浮かべてブランは言う。
「ブランさん、お願いがあるのですが」
「お願い?」
「今日の、陛下へ届ける茶を、ブランさんが代わりにしてもらえませんか?」
いつもと様子が違うクラリスに、ブランは「なぜ?」と問うた。
「ランティス様はわざわざクラリスの茶が良いと言われたのだ。クラリスもそれを喜んでいたのに。どうして代わってほしいと思った?」
クラリスは何と言えばよいのか分からずしばし黙り込んでしまった。
「…私は陛下にとって癌だと、とある人からそう言われました」
どれくらい経ってか呟かれた言葉は、とても頼りないものだった。
「私が陛下に関わるだけで陛下の評判が悪くなると、そう思う人がどうもいるようです」
陛下の評判が落ちるわけにはいきませんからね、とクラリスは無理にでも笑ってみせた。
「誰が言った、そんなこと」
ブランはいつになく怒った様子だった。静かに、口調も変わらないけれど、身にまとう雰囲気は確かに怒っている。


