国王陛下の極上ティータイム

それからクラリスは料理長に菓子を聞きに行って、それに合う茶を考えながら茶室に向かった。その案を茶室で待っていたブランに伝える。

「料理長に聞きました。菓子はレモンパイだそうです。なのでレモンのグレーズが合うかと思うのですが」

「ああ、それでいいと思う」

「良かった。グレーズに使う茶葉は癖のないキームが良いように思います。恐らく南産のキームが一番レモンには合うと思いますが、いかがでしょうか」

「…ああ」

「料理長が言うには、パイは焼きたてが一番美味しいのだとか。なのでパイが焼き上がる時間に合わせて茶も用意した方がよいかと思います」

ああ、そうだったとクラリスは言葉を付け加える。

「それと、陛下はお疲れかもしれないので、蜂蜜瓶もお出しした方がよいのかもしれません。ああ、甘い物と言えば、陛下は菓子をお召し上がりにならないかもしれませんが、一応お出ししてみるのが良いのかも__」


「__クラリス」


ブランは立ち上がってクラリスを真っ直ぐ見つめた。



「いつも冷静沈着で物静かなお前が、今はいつになく饒舌だな。どうした?」

「どうしたって、何のことです?」


笑顔を保ったままクラリスは答える。


「何も__」


「嘘をつくな」


少し大きなブランの言葉に、クラリスは押し黙ってしまった。