国王陛下の極上ティータイム


「お前は言ったな。自分のことを、田舎の出であるこんな娘、しかしも取るに足りないお茶係、だと」

「…何が言いたいのです?」

クロードの目は冷たかった。まるで明かりのない夜に吸い込まれるみたいな怖さだった。


「覚えておくといい。自己評価がそのようである娘と地位のある者が親しくしていると、周りは不穏に思うものだ」


クラリスは目を見開いた。

つまりそれはクラリスとランティスのことを言っているのだろうとすぐに気づいた。親しくするべきでないと、暗に言っているのだ。


「私は仕事をこなしているだけです」


周りから白い目で見られるようなことは何もしていない。ただ茶を運んでいるだけなのだ。それがクラリスの仕事であり、ここにいる理由だ。


「自分ではそのつもりでも他人からはそうは見えないことがある」


そして今がそうなのだと、言われなくてもクラリスは分かった。そしてクロードがそう思っていることにも気づいていた。


「地位のある者にとってその印象は財に劣らず大事なものだ。そしてそのような根も葉もないことでも印象は大きく変わってしまう。命取りになりかねない」


貴族の女性が自分の美しさに磨きをかけようとするのも、この家には容姿の美しい者がいるのだと、容姿にこれだけお金をかけることができるのだと、それほどの財力があるのだと示すためだ。

そのように示すことで自分たちはそれほどの財力を持つ者であるという印象を他人に持たせる。

そして印象というのは悪く変わるのは容易で、そして根強く残ってしまうもの。それが命取りになってしまうというクロードの言葉も言い過ぎとは言えない。


「印象を悪くする恐れのある者を遠ざけたいと思うのは当然のことだろう」