俺が考えてることなんてちっともわかってなさそうな水瀬が、へへ、と声をもらす。

こんなちょろくて大丈夫かと思えば、かんたんに予想外のことを口にする。



「すきやなぁ」

「……はあ⁈」



互いの顔を見あう。

じんわりと熱を持つのは、きっとふたりともおんなじやろ。



「あっあああああ! 間違えて言ってもーた!」

「〜〜あほやなぁ」



間違えて告白ってなんなん?



俺に点数負けたくせに。

俺の一言や行動で気分がころころ変わるくらい単純なくせに。

俺の決意を無駄にしてくるくせに。

……それでも俺は嬉しいって思ってまうんやから、手の施しようがないわ。



あーあ、先言われた。ずるいなぁ。

声をもらしながら天井を見上げる。



海の中みたいなここはもしかしたら、お前にもらった、お前にやった、サイダーの中なんかもしれへんな。

薄暗いのに心は弾ける。

息苦しいのに甘ったるい。



せめて俺とおんなじくらい幸せを噛み締めてもらわんと。

なんてまたばかなことを考えて、俺は視線を水瀬に戻す。



「俺も、好きや」



未解答の答え。

空白の解答欄は、今、埋まる。



               fin.