「そういえば……あと会ってないのは、圭吾さんとイケメン料理人よね。圭吾さんは電話で話したし彩の彼だからどうでもいいとして、イケメン料理人とはいつ会わせてくれるの?」

美月の言うイケメン料理人とは、尊さんの事だ。

「凌央さんの友人で銀座のイタリアン料理店 《brillare》ブリッラーレのオーナーなんでしょ?独身って言ってたよね。紹介してよ。私、婚活しようと思ってるんだ」

それは……お料理を食べに行って挨拶がてら可能だけど……問題は、その……。

「あのね美月、尊さんはね」

「……何?」

美月が怪訝な顔をする。

……言いにくい。言いにくいけど、言わなきゃいけないようなー……。

「尊さんはね、だ、だ、男子が好きっぽい……」

「あら」

美月はパチクリと瞬きした後、

「別に構わないわよ。気に入ったら猛アタックするのみよ」

その時、

「ねえ美月ちゃん、やっぱりその画はこっちがいいかな。それとも反対側がいいかな。今ならまだ場所替え間に合うからさ、事務所にいる凌央を呼んできてもらえる?!」

急にアキさんが私と美月の会話に割って入り、私たちは彼に視線を移した。

「アキさん、毎回そうやって配置決めた後も悩んでるんですか?」

私が驚くとアキさんは、

「うん。凌央はそういうのこだわらないんだ。しかもアイツは作品にタイトルをつけないし」

「雑いわね!やっぱり芸術家って変」

美月は呆れ顔で首を振った。